化粧品のセールス -【04】~最初の契約は、70代のおばあちゃん2014/12/30

経営者になるためにセールスの世界へ3日目には、私が1件も訪問できていないことが先輩にばれました。
ばれたというか、私から言ってしまいました。
先輩からは徹底的にけなされ、「もうやめろ。無理だよ、おまえには」と言われました。
「コックさんに戻ったほうがいい」と。

しかし、私はお店を持つという目標がありましたから、やめるわけにはいきませんでした。
言われ放題言われたのが悔しくて、その晩は寝る時に鉢巻きをして寝ました。
「くそー、見てろ!」という気持ちでした。
翌日、「もう何でもいい」と開き直った私は、めちゃくちゃ訪問したのです。
セールストークは「とにかく、これを使ったらきれいになります」しか言いませんでした。
バババーッと、走りながら飛び込みしました。
たぶん300~500件ぐらい訪問したのではないでしょうか。
隣へ、隣へ、隣へと、もうめちゃくちゃなやり方でした。

しかし、何百件も訪問していると、物好きな人も出てくるのですね。
「あんたへたくそだ」と。
しゃべり方もへたくそだと言うのです。
「でも、へたくそだから信用できる」のだそうです。世の中には、そういう人もいるのです。
毎日何百件も飛び込みすれば、1日1件は売れるのです。

一番最初に売れたのは、70代のおばあちゃんでした。
普通、化粧品の営業でこの年代を狙う人はいません。
だいたいの営業は、20代からせいぜい30代を狙っていました。
やはり肌につけるものですから、女性に化粧品を変えさせるのは難しいんですね。
若い子はこれだと決まっていないので買ってくれやすいのですが、
年配の方は、例えば資生堂など、もう自分が使いたい化粧品が決まっているわけです。
それを聞いたことのない化粧品に変えさせるのは簡単ではありません。

私が70代のおばあちゃんとの契約書を会社に持っていった時、周囲からは「これ、間違いじゃないか」と言われました。
この年代の女性に売った営業は、過去にただの1人もいなかったからです。
70代の女性には、見た瞬間に勧めないらしいのです。
私はそんな先入観がありませんでしたから、「女性だったらみんな買うんじゃないか」と思い、売ることができました。
下手な鉄砲、数打ちゃ当たるです。
とにかく手当たり次第、何も考えずにコンコン、コンコンとドアをノックしました。
たくさん訪問すると、色々な人が出てきます。
中には意地悪をしてくるような人もいました。
一生懸命話したのですが、「ああ、そう。フン、よかったね」と、馬鹿にされたのです。
私も若かったですから腹が立って、
「クソばばあ!おまえなんか、こんなの使ってもきれいになるわけないじゃないか!」と、捨て台詞を吐いて帰ってきたこともありました。

毎日毎日、何百件も回ると、だんだんリズムができてきます。
当時、アパートへ行くと、まず一番上の階に行きました。
それから順番に、下の階へ呼び出しボタンを押しながら降りていきました。
面白かったのは、・・・

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